十一章

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冷蔵庫の中身を見て唖然とした。 「…何もなかった…。」 冷蔵庫の中には、お弁当のおかずと飲み物しかなかった。 簡単に作れる材料がなくて、どうしようか悩んでから、コンビニに行く事にした。 スウェットを着ていたから、Gパン、Tシャツに着替え、置いてあった櫂翔のパーカーを羽織る。 「ライチ、ご飯買ってくるからお留守番しててね?」 「ニャ~」 ライチの元気いい返事を聞いてから家を出た。 マンションから出ると葵と帰って来た時は、まだ明るかったのに、すでに暗くなっていた。 「うわぁ…。真っ暗だ。」 呟いてから早足に歩き出す。 コンビニまで近いけど、櫂翔に1人で行ったらダメって言われてるから。 5分ぐらいでコンビニにつき、サンドイッチと雑誌、お菓子をカゴに入れレジに並ぶ。 会計が終わり買った物を抱えながら、来た道を帰ろうとしていると、前からチャラチャラした男達が歩いて来るのが見えた。 何だか男達は私を見ながら話していたから、イヤな気分になりながら男達の横を通り過ぎ様としたのに、呼び止められた。 「ねぇねぇお姉さん1人?」 「……………。」 「今から暇?暇なら俺達と遊ぼうよ?」 「………………。」 5分くらい無視していたが、余りにしつこく道を塞がれていた。 「暇じゃない。帰るからどいて。」 「あっ。やっと話してくれた。少しだけでも良いから遊ぼうよ?」 「嫌。」 はっきり断っても諦めない男達にいい加減嫌気がし始めた頃、バイクの音が近付いてきた。 私のすぐ後ろでバイクの音が止まり良く知った声が聞こえ、ヤバいっと思い一瞬固まった。
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