十一章

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「何してる。」 その声に怖くて振り向けないでいると、男達が騒ぎ出す。 「なんだぁ……あっ…。…結城…さん…。」 「てめぇら…こいつを何処に連れていく気だ。」 「いえ…あの…」 「こいつが誰か解ってて声掛けたんだよなぁ?」 「え…いや…。」 口ごもる男達に熾遠は私の横に来て、髪を耳にかけピアスが見える様にした。 男達はピアスを見るとだんだんと青ざめてきていた。 「これで誰かわかんだろ。」 「あ…あっ…すいませんでしたぁ。」 熾遠の言葉に男達は慌てて走って逃げて行った。 …私も逃げたいなぁ… なんて考えていると、熾遠に呼ばれ恐る恐る振り返った。 「…李遠。」 「…なに?」 「…何で外にいる?」 「えっと…ご飯買いに…。」 「お前は何回言ったら解るんだ!1人で出歩くなぁ!!」 「にゃ!ごめんなさぁい…。」 「だいたい何で携帯出ねぇんだよ。何回電話したと思ってる!様子見に来て正解だったな!!」 「携帯?…あ…家だ…。」 「はぁ…まったく…。櫂翔も心配してるぞ。買い物は終わったのか?」 「うん。買ったよ。」 「じゃあ行くぞ。後ろ乗れ。」 「はぁい。」 熾遠のバイクに乗りマンションに送って貰った。
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