一章

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目覚ましの音と共に目をさます。 「………朝……」 まだ、しっかりと起きない頭で、考えながら学校の準備を始める。 今日は高校の入学式の為、本当ならもう少し遅く起きる事も出来るけど、早めに行くため、30分も早く起きた。 一階に降り、リビングに顔を出す。 リビングには叔父さんと叔母さんがいた。 「おはようございます。」 一応挨拶をするが、二人とも私の事を無視していた。 これはいつもの事なので、早々とリビングを出て、家から出る。 私…結城 李遠(ゆうき いおん)は親戚の家に住んでいる。 両親は10歳の時に、事故で亡くなってしまった。 唯一の肉親は2歳年上の兄だけ。 その兄も親戚の家に帰って来なくなっていた。 玄関を出て、そんな事を考えて、ふぅと息を吐き出した。 「……熾遠(しおん)……。…助けて…。」 ポツッと呟いてしまい、ハッとする。 今日から通う高校は、熾遠も通う高校。 学校に行けば熾遠に会える。 そう思いながら、学校までの道のりを急いだ。
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