十一章

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教室が騒がし過ぎて、ドアが開いた事に誰も気づいていない。 私は熾遠に気付いていたが、あえて動かずにいると、最初にblue moonのメンバー達が熾遠に気が付いた。 「「「お疲れ様です。」」」 教室中がその声に一瞬静まり返ったが、次の瞬間、女子の奇声が響いた。 「おぅ。李遠可愛いな。明日それ着るのか?」 メンバーに軽く手を上げ私の所に近寄って来た。 「うん。これにネクタイ付けるんだって。」 「ネクタイ?俺のつけるか?」 「ん~?櫂翔の借りる。確か家に使ってないのがあったから。」 「そうか。もう帰れるのか?」 「たぶん?」 「じゃあ行くぞ。そのまま帰るのか?」 「いや、着替えるよ?ってか熾遠何しに来たの?」 「あ?李遠迎えに来たに決まってんだろ?」 「どっか行くの?」 「あぁ。櫂翔が忙しいのが今日で終わりそうだから李遠連れて来いだと。」 「ふぅん。わかった。じゃあ行く前に家に寄ってね?着替えてから行きたいから。」 「あぁ、わかった。」 熾遠と話しながら教室を出て、トイレで着替えてから下駄箱に向かえば、まだ教室に居たはずの葵がいた。 「い~ちゃん、熾遠さん。置いてかないでよ!」 「わりぃわりぃ、葵忘れてたわ。一緒に行くんだろ?」 「はい!」 葵も連れて熾遠のバイクに乗り、一度マンションに帰って着替えてから会社に向かった。
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