十一章

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葵と熾遠と並びながら会社に入れば、女子社員から妬みの様な視線を向けられる。 だいぶ慣れたとはいえ、いい気分はしないから早足に会社のドアを開けた。 私が入って来た事に最初に気付いたのは龍さんだった。 「よっ。李遠来たな。」 「こんにちは龍さん。」 「おう。櫂翔駆り出してゴメンな?」 「大丈夫ですよ。お仕事ですもん。」 「そっか。もうすぐ終わるから座って待ってろ。終わったら飯行くぞ。李遠が食いたいもの食べさせてやるな?」 「ありがとうございます。」 龍さんと話終わりソファーに座ると、葵と熾遠が隣に居ない事に気付き見渡して見ると、要さんと何やら話していた。 明日の事で綾さんからメールが来てたから、皆の仕事の邪魔にならない様に静かに返事を返していると、要さんがケーキと紅茶をくれた。 「ありがとうございます要さん。」 「1人にしてゴメンね?もうちょっと待っててね?」 「大丈夫ですよ。お仕事頑張って下さい。」 「ありがとう。」 軽く話すと要さんは仕事に戻って行った。 要さんから頂いたケーキを食べながら、綾さんとメールをしたり、携帯ゲームで遊びながら待っていた。 1時間ぐらい過ぎた頃、後ろから声をかけられた。 「李遠、待たせたな。」 「櫂翔!お仕事終わった?」 「あぁ。」 「お疲れ様。」 ニコニコしながら言えば、櫂翔に頭を撫でられた。 二人でホンワカ雰囲気でいると、入口から皆がニヤニヤしながら見ていた。 「おい櫂翔、李遠イチャついてないで飯行くぞ。李遠何食いたい?」 龍さんに言われ考えながらソファーから立ち上がる。 「何でも良いですよ?」 「龍さ~ん。俺、焼肉~!」 「葵には聞いてねぇ。李遠、食いたいのないのか?」 横でヒデェ~とか言っている葵を見ながら考えたが、特に食べたい物がなかったから、葵が言う焼肉にしてあげた。 私が焼肉と言うと龍さんは葵なんか無視して良いぞって言いながらも、焼肉屋さんに向かってくれた。
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