十一章

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「結城さぁん。ネクタイは緩く結んで。胸元もっと開けて。」 「………イヤ。」 「ダメダメ。はい、手どかしてねぇ。」 委員長は嫌がる私を無視してネクタイを緩めた。 胸元も開けられ、キスマークが目に入る。 見られたのが恥ずかしくなり、バッと慌てて隠した。 「わぁ凄い。櫂翔さんに付けられたの?まぁ、いいわ。何人かはメイクでキスマークみたいに見せてる人いるから、それに紛れとけば大丈夫だよ。って事で、そのスタイルから変えちゃダメだからね?」 「………はぁ………」 無理矢理な言い訳で纏めた委員長は、そのまま教卓に向かい皆に叫んだ。 「皆!準備は良い?必ず1年の売上1位になるのよ!!」 「「おぉ!」」 気合いが入った返事が響いた中、1人溜め息をついた。 隣にいた葵は溜め息をついた私に気付き苦笑いしながら言う。 「い~ちゃん…諦めな。委員長燃えてるよ。逆らったら怖いよ?」 「…はぁ…。…葵…。」 「何?」 「私、綾さん達が来るまでしか居ないから。」 「えっ?」 「こんなの恥ずかしい。綾さん達が来るまでしか無理。」 「うぅ~。わかった。それまでは、教室に居てくれる?」 「うん。」 「じゃあ委員長に言っとくよ。」 「ありがとう葵。」 委員長には葵から伝えてくれるから、私は教室から出た。 廊下はすでに賑わっていて、外をみれば校門に沢山の人が並んでいた。 …綾さん達、早く来ないかなぁ。 まだ始まってもないのに、そんな事を考えていると、チャイムがなり学祭がスタートした。
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