十一章

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ついにスタートした学祭。 私は本当に入口に立っているだけだった。 呼び込みとかした方がいいんだろうけど、葵が一緒にいるから葵だけで宣伝になる。 blue moon目当ての女の子達が店の半分を埋めていた。 「ゴメン結城さん。中手伝ってくれる?」 「わかった。」 委員長に呼ばれ中に入り、接客をした。 心の中では少しでも早く綾さん達が来てくれる事を祈りながら、忙しさに終われていた。 忙しい中、男に声を掛けられるかもと不安に思ったらしい葵が、私にピアスが見える様に髪を編み直す様に言う。 編み直すのが面倒くさかったから、ピアスをしている方の髪を耳に掛けた。 blue moonのピアスのお陰か変に声を掛けてくる人はいなかった。 クラスに最初に現れたのは、エナと総司くん。 「イオ可愛い!!」 「エナ!来てくれたの?」 「当たり前じゃない。可愛いイオを見なきゃ。」 「クスクス。ありがとう。総司くんも久しぶり。」 「久しぶりだねイオちゃん。櫂翔が怒りそうな格好だね?」 「あ~やっぱり?」 「あぁ。それに…しっかりマーキングされてるよね?」 「…目立つよね?」 「目立つね。」 そう返す総司くんに苦笑いした。 「クスクス。イオも大変ね?でも偉いじゃない。ちゃんと参加するなんて。前なら参加してないでしょ?」 「まぁね。逃げたいけど、綾さんにメイド姿見たいからって言われてるの。だから綾さんが来るまでは着替えれなくて…。」 「じゃあ仕方ないわね。まぁ、後で私のクラスにも来なさいよ?」 「うん。」 しばらく話すとエナと総司くんは帰って行った。
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