十一章

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しばらく廊下で話していたが、他のクラスからも魁さんや櫂翔を見る人で廊下は凄い事になっていた。 「ねぇ綾さん。とりあえず中に行かない?」 『そうだね。魁いい?』 私達の輪から離れていた魁さんに綾さんが言えば、魁さんは頷いた。 それを見てから葵が皆を教室の中に案内していた。 私は櫂翔の近くに行こうと魁さん達が来るのを待った。 『李遠、久しぶりだな。』 「はい。お久しぶりです。」 『元気だな。』 「綾さん達に会えて嬉しいから。」 ニコニコしながら魁さんと話していると後ろから抱き締められた。 大好きな温もりに慌てる事もなく、回された腕を掴んだ。 「ねぇ櫂翔?」 「ん?」 「いつの間にキスマーク付けたの?」 「昨日の夜。」 「…もぅ…。皆に見られて恥ずかしいんだよ?」 「着させない為に付けたのにな。…まぁいいか。可愛いよ李遠。」 「キスマークがなければね。」 少し拗ねた様に言えば、上を向かされる。 周りはそんな櫂翔の行動に悲鳴が上がっていた。 「嫌なのか?」 「嫌なんじゃなくて、恥ずかしいの。綾さんがメイド姿で見たいって言ってたから着替えれないし…」 「クスクス。もう着替えれるだろ?」 「まぁね。」 櫂翔の顔を見ながら答えれば、頭を撫でてくれた。 「とりあえず中行くか。」 「うん。」 櫂翔に肩を抱かれ教室に入る。 教室の中では魁さん達がいるテーブルだけ異様な雰囲気を醸し出していた。
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