三章

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試着室を出ると、店員さんと櫂翔が話をしていた。 「李遠、ドレス貸せ。…このドレスに合うネックレスと靴を持ってきてくれ。」 「畏まりました。」 店員さんはそう言うと、遠ざかっていった。 「櫂翔?イヤリングはいいの?」 耳に何も着けないのは不自然に思い聞いてみた。 「あぁ。李遠ピアス開けないか?」 「ピアス?してみたいけど…自分でするのは怖いな…。」 「俺が開けてやる。」 「ん…なら開ける。…痛く…ない?」 「あぁ。痛くないようにするから大丈夫だ。」 そう言われ頷くと、ちょうど店員さんが戻ってきた。 「お待たせ致しました。こちらでいかがでしょう?」 「…いいな。じゃあこれをくれ。」 櫂翔はアクセサリーを見て、納得したのか自分で決めて会計に言った。 私は櫂翔の後ろから着いていき、待っていると、銘ちゃんと熾遠がやって来た。 「李遠ちゃん決まったの?」 「うん。銘ちゃんは?」 「決まったよ。熾遠が買ってくれてる。」 「そっかぁ。」 話していると、熾遠と櫂翔は会計が終わり、私達の方に来た。 「よし。飯行くぞ。」 熾遠はそう言い歩き出したから、櫂翔の隣を歩きながら、お礼を言った。 「櫂翔、買ってくれてありがとう。」 「あぁ。」 笑いながら、私の頭を撫でてくれた。 車に乗り込み、皆で回転寿司に来た。 「うわぁ。お寿司とか久々だぁ。」 私は目を輝かせ、流れるお寿司を見た。 「李遠…俺が居なくなってから、何食べてたんだ?」 熾遠に聞かれ思い出しながら話す。 「ん?給食。」 「…は?夜は?」 「食べてないよ。部屋に隠れてたし…。食べれなかったから…」 そう言うと熾遠は申し訳なさそうな顔をした。 「熾遠のせいじゃないから大丈夫だよ。それに…あの人達と食べたくなかったから。」 「…そうか。じゃあ…李遠!今まで連れて行けなかった分、いろんな所に連れて行ってやる!」 「うん。ありがとう熾遠。」 そう話す私と熾遠を櫂翔と銘ちゃんは暖かい目で見ていた。
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