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「次…また何かするなら、今度は手加減しないから…。」
私はそう言い残し、着替えに行った。
制服に着替えてから、鏡を見ると転んだ拍子に足は挫いていて、膝は蹴られた時に転んで擦り傷が出来ていた。叩かれた頬っぺたも赤くなっていた。
「あちゃあ…。なんて言い訳しようかな…。」
そう考えながら、足を引きずりながら教室に向かうと、クラスの前に人だかりが出来ていた。
教室を覗くと私の席に熾遠が寝ていた。
熾遠に近づき起こす。
「熾遠おきて。何でここで寝てるの?」
そう言うと、欠伸をしながら熾遠が起きた。
「ん~。…あの後、ここで待ってたから…」
まだしっかり起きていない熾遠の耳元で囁いた。
「お兄ちゃん。ちゃんと起きて?イオと遊んでくれなきゃ泣いちゃうよ?」
そう言うと、熾遠はバッと私に抱きついた。
「起きた!李遠寂しかったのかぁ?俺がいるぞ~。」
「熾遠…冗談だから…。」
「なぁんだ。たまには俺にも甘えろよ~。」
「はぃはぃ。今度ね?熾遠、櫂翔の所に行こう。」
「あぁ。行くか。」
そう言い、熾遠は私の手を掴み歩き出した。
足が痛くて引きずって歩く私に熾遠が聞いてきた。
「李遠?足どうした?」
そう聞かれ咄嗟に誤魔化した。
「さっきの体育で転んじゃった。」
「保健室行ったか?」
「まだ。たぶんほかってても大丈夫だよ。」
「先に保健室行くぞ。傷が残ったらどうするんだ。」
そう言い熾遠は私を抱き上げ保健室に向かった。
「熾遠!恥ずかしいから降ろして!!」
「痛いんだろ?俺の前で我慢するな。」
そう言われ、何を言っても降ろしてくれない熾遠に諦めて、周りには聞こえないようにお礼を言った。
「お兄ちゃん。ありがとう。」
「おぅ。たまには良いな。」
「何が?」
「お前にお兄ちゃんって呼ばれるの。」
「そう?」
そんな話をしながら保健室に入って言った。
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