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時間がたつにつれ、意識がはっきりしてきた。
フッと辺りを見渡せば、櫂翔と熾遠が居ない事に気がついた。
「お……と……さ?」
「なんだ?」
「…か……い…と……は?」
「あぁ。溜まり場に出てる。すぐ帰ってくるから、李遠は大人しく寝てろ。」
「…う……ん…。」
私に何も言わずに出掛けてしまった櫂翔に、思わず目に涙が溜まってきていた。
「李遠、泣かなくていい。櫂翔達はお前が目覚める前に帰るつもりだったが、李遠が目覚めるのが早かっただけだ。
…ほら…単車の音が聞こえるだろ?
帰ってきたぞ。」
頭を撫でながら言うお父さんに、無言のまま頷く。
少し待つと櫂翔と熾遠が何か話しながら入って来た。
すぐに二人とも私が起きてるのに気付き声を掛けてくる。
「気分はどうだ?」
「…だ…じょ……ぶ…」
櫂翔に聞かれ、そう答えながら櫂翔に向かって手を伸ばした。
そんな私の行動がわかっていたのか、櫂翔は私を抱き上げてギュッと抱き締めてくれた。
「どうした?怖い夢でも見たか?」
聞いてきた櫂翔に首を振る。
「…パ…パ……た…ち……の……ゆ……め…。」
「そうか。」
「何も言わずに出掛けて悪かった。」
そう言う櫂翔に首を降れば、櫂翔は頭を撫でてくれた。
しばらく櫂翔にくっつき気分的に落ち着いた頃…今何時か気になった。
部屋にはカーテンがしてあり夜である事はわかったが、どのくらい寝てたのか気になった。
「か……と……?」
「どうした」
「い……ま……な……じ?」
「まだ3時だな。」
そう答えた櫂翔に不思議に思った。
ご飯を食べたのが8時ごろ…。
なら朝まで私は寝ていた事になる。
そんなに長く寝た気分ではなかったから。
「よ……な……か?」
「あぁ。お前ぐっすりだったからな。」
「そ……か…。」
櫂翔と話していると、体温計を持った熾遠が近寄って来る。
「李遠、熱測ってみろ?」
「う……ん。」
私が返事をすると、熾遠から体温計を受け取った櫂翔が耳に当ててきた。
すぐにピピって音がなり、すぐに耳から外された。
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