十五章

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「まだ高いな…。」 体温計を見た櫂翔は呟いた。 「気分はどうだ李遠?何か欲しい物あるか?」 櫂翔の声を聞いた熾遠は、櫂翔に抱き付いている私に聞いてきた。 特に欲しい物もなかったので、そのまま首を振る。 「ほら李遠、もう少し眠れ。」 櫂翔は頭を撫でながら言ってきたから、ジッと櫂翔の目を見ながら言う。 「…も……ど…こ……に…も……行…か……な…い?」 「あぁ。もう行かねぇから大丈夫だ。」 櫂翔の言葉に安心してそっと目を閉じた。 櫂翔に頭を撫でられているせいか、熱が高いせいなのか、よく解らないが直ぐに眠たくなって意識が遠退いた。 櫂翔side 膝に李遠の頭を乗せてやり頭を撫でてやる。 もう少し寝ろと言えば、不安そうな顔をしながら、どこにも行かない?って弱々しく聞いてくる。 行かないと言いながら、頭を撫でてやっていると、暫くすると寝息が聞こえてきた。 そんな李遠を眺めていると、飲み物を取りに行っていた熾遠が近寄って来ていた。 「寝たか?」 「あぁ。まだ身体が辛いんだろ。」 「熾遠、俺は暫く李遠についてるぞ。」 「あぁ。わかってる。李遠の事頼むな?」 「あぁ。」 その後、熾遠と色々な事を話していると、大分時間がたったみたいで、お袋や可憐達が起き出してきた。 「おはよ。李遠ちゃんは熱下がったかしら?」 「はよ。まだ熱はある。今また寝た所だ。」 「そう。じゃあ櫂翔、李遠ちゃんをベッドに運びなさい。こんな所に寝てたんじゃ熱も下がらないわ。」 「あぁ。」 お袋に返事をして李遠を抱き上げ部屋に戻った。 櫂翔side end
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