十五章

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暫くするとお母さんが、お粥を手に戻って来た。 「さぁ李遠ちゃん出来たわよ。少しでも良いから食べなさい。」 お母さんの言葉に頷き、お粥に手を伸ばした。 お母さんがソファーの前のテーブルに置いてくれたから、そのままレンゲを受け取り食べ始める。 「い…た……き…ま…す。」 少しづつ冷ましながら食べたけど、半分も食べれなかった。 「…ご……そ…う…さ…ま。」 「李遠もういいのか?」 すかさず櫂翔が聞いて来たから、櫂翔を見ながら頷いた。 「そうか。じゃ薬な。」 櫂翔の言葉にピキっと固まる…。 「…か…い…と。」 「ん?」 「お…く…す…り……や……。」 「ダメだ。弘人さんからも飲む様に言われてるだろ?」 「で…も……や…。」 そう言う私に櫂翔は困った顔をしていた。 「李遠…。」 そんな櫂翔に薬を飲まされない様に、ギュッと抱き付いていると、お母さんがやってきた。 「李遠ちゃん、少しは食べれた?」 「ん。…の…こ…し…て…ご…め……な…さ…い。」 「いいのよ。それよりゼリー食べない?桃で作ってみたの。」 「…た…べ…る。」 「はい。どうぞ。ユックリ食べるのよ?」 コクンと頷き櫂翔から離れ、お母さんからゼリーを受け取って食べ出した。 甘い桃の味に全部食べてしまった。 そんな私に櫂翔がすかさず声を掛ける。 「李遠、薬。」 「も…う…だ…じょ…ぶ…だ…か…ら…お……く…す…り…い……ら…な……。」 「ダメだ。」 そんな会話をしていると、お母さんが話した。 「大丈夫よ櫂翔。」 「は?何が?」 「薬飲まなくていいのよ。」 不思議そうにする櫂翔を他所に、お母さんは周りを片付け始めた。 お母さんに薬を飲まなくていい と言われた私は、ソファーに寝そべりながらライチと遊び出した。 櫂翔はお母さんの言葉を不信に思ったのか、キッチンのお母さんの元に行っていた。
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