1845人が本棚に入れています
本棚に追加
暫くするとお母さんが、お粥を手に戻って来た。
「さぁ李遠ちゃん出来たわよ。少しでも良いから食べなさい。」
お母さんの言葉に頷き、お粥に手を伸ばした。
お母さんがソファーの前のテーブルに置いてくれたから、そのままレンゲを受け取り食べ始める。
「い…た……き…ま…す。」
少しづつ冷ましながら食べたけど、半分も食べれなかった。
「…ご……そ…う…さ…ま。」
「李遠もういいのか?」
すかさず櫂翔が聞いて来たから、櫂翔を見ながら頷いた。
「そうか。じゃ薬な。」
櫂翔の言葉にピキっと固まる…。
「…か…い…と。」
「ん?」
「お…く…す…り……や……。」
「ダメだ。弘人さんからも飲む様に言われてるだろ?」
「で…も……や…。」
そう言う私に櫂翔は困った顔をしていた。
「李遠…。」
そんな櫂翔に薬を飲まされない様に、ギュッと抱き付いていると、お母さんがやってきた。
「李遠ちゃん、少しは食べれた?」
「ん。…の…こ…し…て…ご…め……な…さ…い。」
「いいのよ。それよりゼリー食べない?桃で作ってみたの。」
「…た…べ…る。」
「はい。どうぞ。ユックリ食べるのよ?」
コクンと頷き櫂翔から離れ、お母さんからゼリーを受け取って食べ出した。
甘い桃の味に全部食べてしまった。
そんな私に櫂翔がすかさず声を掛ける。
「李遠、薬。」
「も…う…だ…じょ…ぶ…だ…か…ら…お……く…す…り…い……ら…な……。」
「ダメだ。」
そんな会話をしていると、お母さんが話した。
「大丈夫よ櫂翔。」
「は?何が?」
「薬飲まなくていいのよ。」
不思議そうにする櫂翔を他所に、お母さんは周りを片付け始めた。
お母さんに薬を飲まなくていい と言われた私は、ソファーに寝そべりながらライチと遊び出した。
櫂翔はお母さんの言葉を不信に思ったのか、キッチンのお母さんの元に行っていた。
最初のコメントを投稿しよう!