一章

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しばらくすると、入学式が始まった。 校長の長い話しもやっと終わり、ゾロゾロと新入生が体育館から教室に移動していた。 人の多さに紛れ、葵とはぐれ1人で教室に向かった。 途中、自販機を見つけ、ジュースでも買っていこうと思い、自販機に近づくと、近くに先輩らしき人達が固まって座っていた。 ジュースを買い、教室に戻ろうとすると、先輩達に道を塞がれた。 教室に戻りたかった私は、通して貰おうと声を出した。 「すいませんが、通してくれませんか?」 一応先輩だと思い、控え目に聞いてみたが、笑われるだけで退いてくれない。 「あはは。可愛いね。1年?今から俺達と遊びに行こう?」 面倒くさいと思いつつ、丁寧に断る。 「いやです。教室に帰りたいので、退いてください。」 そう言うと、また笑い出した。 「教室に行ってもつまんねぇって。俺達と遊んだ方が楽しいよ。」 そう言われても行く気がないので断る。 「イヤ。いい加減退いて。」 そう言うと、5~6人いた先輩の1人が痺れを切らして言った。 「いいから俺達と来いよ。この学校で俺達に逆らっちゃダメなんだよ。」 「知らない。退いて。」 「俺達は黄竜のメンバーなんだぞ。」 「てかさぁ…強制的に連れてこうぜ。」 「そうだな。ほら、来いよ。」 そう言いながら、私の腕を掴み歩き出した。 知らない男に掴まれ、ゾワっと鳥肌がたつ。 「っ!触らないで!離して!!」 腕を振り払おうとするけど、ギュッと掴まれ離れない。 嫌がる私を見て、また笑い出した。 「黄竜知らない子とかいるんだな。教えてやるから来いよ。」 「いや!!離して!!!」 その時、新しい声が聞こえた。
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