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「あの…は…離して…下さい…。」
私が言うと男は笑いだした。
「震えちゃって可愛いね。俺と居てくれるなら離してあげるよ。」
そう言う男に綾さんが男の手を私から離して言った。
『離しなさい。私達は貴方とはいません。失礼します。』
綾さんはそう言うと、震える私の手を掴み歩き出そうとした。
男は自分に靡かない私達にイラッとしたのか言った。
「待てよ!こっちが下手に出てりゃ調子に乗りやがって。」
そう言いながら、綾さんに向かって手を上げた。
私は咄嗟に綾さんの前に出て、男に叩かれた。
『っ!李遠ちゃん!?』
「…大丈夫です。綾さん怪我ないですか?」
『私は大丈夫。』
綾さんはそう言うと、男を睨み付けた。
『貴方…いい加減になさって下さい。私達は彼と来ているんです。それに…女の子に手を上げる男は最低ですよ。もう構わないで下さい。』
綾さんは強くそう言い、今度こそ男から離れようとした。
綾さんの言葉に男は逆上して、叫びだした。
「生意気な女。ちょっと痛い目みないと解らないみたいだな。どこの家だ!?潰してやる!」
『クスッ。貴方に潰される訳がありませんわ。貴方こそ、ご自分の心配なさってはいかがですか?』
そう言う綾さんが素敵に見えた。
男が綾さんに殴りかかろうとした時、私はまた綾さんの前に立ったが、男の手が私達に届くより前に静な声が響いた。
『…そこまでです。田中さん。』
声がした方を見れば、真っ赤な髪をした男の人と櫂翔が立っていた。
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