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声がした方を向けば、櫂翔と真っ赤な髪をした人がいた。
『田中さん。俺の女に何かご用ですか?』
「い…いえ。御堂さんのお連れ様でしたか。迷われてるみたいでしたので、ご案内しようかと声をかけた所でして…。」
いきなりさっきとは違う事を言い出した人を呆れながら見ていると、綾さんが言った。
『あら。私達は迷ってなんかいませんでしたよ。魁、彼は私達をナンパして、断ると手を上げたのよ。李遠ちゃんが私を庇ってくれて、叩かれたの。
あぁ。後、彼に逆らったら会社を潰されるみたいよ。まぁ…私達の会社がそれぐらいで潰れるとは思わないけど…。瑠榎兄様?家って簡単に潰されますの?』
そう言う綾さんに、別の男の人が話し出した。
『いや?家が潰される訳ないだろ。』
そう言うとナンパしてきた人はだんだん顔色が悪くなってきた。
何も話さなかった櫂翔は、私の方に歩いてきて、叩かれた頬っぺたを触りながら聞いてきた。
「李遠、大丈夫か?」
「…うん。綾さんが助けてくれたから…。」
そう言いながらも、身体の震えは止まっていなく、櫂翔はそれに気づき、私を抱き締めてくれた。
「李遠もう大丈夫だ。」
「…櫂翔…。」
櫂翔に抱き締めながら、ナンパ男を見れば、凄い勢いで謝りだした。
「申し訳ありませんでした。」
そういい、そそくさと何処かに行った。
綾さんの方を見れば、真っ赤な髪をした人に怒られていた。
『沙綾…。』
『あっ…ごめんね魁。勝手に離れて…。』
『はぁ…探したぞ。』
『綾!お前は何で魁から離れるんだよ!!魁と一緒にいるって約束しただろ?』
『だって瑠榎にぃ…魁、挨拶してたから…暇だったんだもん。』
『まぁまぁ。仕方ないわよ。綾も勝手に居なくなっちゃダメよ?』
『はぁい。ごめんなさい妃那ねぇ。』
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