四章

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櫂翔に抱きついていると、だいぶ落ちついてきた。 …大丈夫…櫂翔も熾遠も側にいてくれる…。 涼が本気で私を連れ戻すなら、すでに何らかの動きがあるはず。 でも…まだ周りにも変わった事が起きていないから…大丈夫。 そう思いながら櫂翔に更にギュッと抱きついた。 「落ち着いたか?」 「…うん。」 「いきなりどうした?」 「…怖い夢…見ちゃって…。」 櫂翔にメールの事は言わずに、嘘をついた。 言ってしまったら現実におきる様な気がしていた。 「大丈夫だ。俺が守ってやる。」 櫂翔に優しく聞かれ頷いた。 「そろそろ準備するか…。」 そう言いながら、櫂翔は立ち上がった。 私も立ち上がり、シャワーを浴びに行った。 一人になるのが怖かったから、素早くシャワーを浴び、櫂翔のいるリビングに戻った。 櫂翔はソファーに座り、タバコを吸っていた。 櫂翔に抱きつき、ギュウと洋服を握った。 櫂翔は何も言わずに、タバコを吸いながら、私の頭を撫でてくれていた。 タバコを消した櫂翔が立ち上がり、私もつられて立ち上がって、朝食に向かった。 バイキングには、すでに熾遠達がいて、私達が最後だった。 『おはよう李遠ちゃん。』 「綾さんおはよう。」 綾さんと挨拶しながら皆にも、おはようと言った。 「李遠、食べたいの取ってこい。」 「櫂翔は?」 「俺はコーヒーだけでいい。」 「じゃあ…私もいい…。」 櫂翔と離れたくなくて、ギュッと手を繋ぎ椅子に座った。 熾遠達は私の行動を不思議そうに見ていた。 『李遠ちゃん、果物食べない?一緒に行こう?』 綾さんに言われたけど、動きたくなくて、どうしようか悩んでいると櫂翔が言った。 「李遠、俺はどこにも行かないから、大丈夫だ。少しだけでも何か食べろ。」 『李遠ちゃん、果物なら、すぐそこだから櫂翔くんも見える位置だよ。』 そう言われ立ち上がった。 「…でも…。」 「大丈夫だ。ほら行ってこい。」 そう言われ頷き、綾さんと果物を取りに行った。
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