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櫂翔が唇を離した頃には、やっぱり私は息切れしていた。
そんな私を見て櫂翔は笑った。
「いい加減慣れろよ。」
「…ムリ…。」
「クスクス。ほら行くぞ。綾達と遊ぶんだろ?」
「うん。」
そう言い立ち上がり、二人で部屋を出た。
ロビーには皆揃っていて、私達を待っていた。
『李遠ちゃぁん。』
「お待たせしちゃってごめんなさい。」
そう言いながら綾さんに近よりさっきのお礼を言う。
「綾さん、さっきはありがとう。櫂翔にちゃんと話したよ。」
『そっか。大丈夫だったでしょ?』
「うん。」
そう言うと綾さんは優しく微笑んでくれた。
「綾ちゃん、李遠行くぞ。」
熾遠に言われ、皆の方を見れば、もう入口に行っていた。
櫂翔もいつの間にか魁さんと話しながら、入口からこっちを見ていた。
『李遠ちゃん行こう!』
綾さんはそう言うと、私と手を繋ぎ走り出した。
魁さんと並んで待っていた櫂翔の方にポイっと投げられ、綾さんは魁さんに抱きついてた。
急に飛んできた私を櫂翔は受け止めてくれた。
綾さんの方を見ると、魁さんと話していた。
『…沙綾…走るな。それに…急に投げたら、李遠が可哀想だろ?』
『あはは。だって櫂翔くんが受け止めるじゃん。』
その言葉に櫂翔と顔を見合せ笑った。
『おい、行くぞ。時間がなくなっても良いのか?』
瑠榎さんに言われ、慌てて歩き出した。
妃那ねぇと銘ちゃんはそんな私達を見て笑っていた。
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