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『櫂翔、わりぃな。沙綾が飲ませたみたいだな。』
「いえ…大丈夫です…。」
眠った李遠を膝に乗せ、魁さんに返事をした。
寝ながら泣く李遠の涙を拭いながら、涼をどうするか考えてた。
『しかし…綾みたいに、李遠ちゃんも不安定な精神状態だな…。』
『あぁ…。沙綾は昨日と今日は落ち着いてるけどな。』
そう話す魁さんと瑠榎さん。
「そうなんですね…。」
『あぁ。李遠に何があるか知らねぇが、お前が護ってやればいい。』
「はい。」
魁さんに言われ頷いた。
その時、下っ端の奴が俺達の方に来た。
「櫂翔さん!」
「どうした?」
「表に…」
言葉を濁す奴に言った。
「…いいから言え。何があった?」
「…はい。知らない奴らが来てます。」
そう言われ熾遠が立ち上がる。
俺も李遠を膝から下ろし、ソファーに寝かせて魁さんに言う。
「すいません。ちょっと行ってきます。」
『…あぁ。』
魁さんの返事を聞き俺と熾遠は外に出た。
外に出ると、そこにいた奴を睨み付け熾遠が言った。
「涼…何しに来やがった。」
「よぅ熾遠。久しぶりだな。俺のオモチャ返して貰いに来たぞ。」
「てめぇ…李遠はお前のオモチャなんかじゃねぇ。忠告はしたはずだぞ。」
熾遠と話す男が涼なのだと思いながら、口を挟まず聞いていた。
「あれは俺のオモチャなんだよ。お前が居なくなってからずっとな。お袋に何言ったか知らねぇが、会社も返してもらうぞ。」
「はっ。会社は元々俺達家族のだ。お前のじゃねぇんだよ。」
「お前ら孤児を俺達が引き取った時点で俺のなんだよ。もちろん李遠もな。
所で李遠はどこだ?俺が直々に迎えに来てやったんだ。今すぐ連れてこい。」
「お前に李遠は会わさない。李遠は俺達が守る。奪えるなら奪ってみろよ?」
挑発する熾遠を眺めていると、涼は俺の方に話しかけた。
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