始まりの夏

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「私、あと1ヶ月しかこの町に居られないんです。だから、せめてですね、最後になにか頑張ってみようかと思ったんです」 ああ、なんだ。そう言えば、留学生を前に募集していたっけ。 この子の留学する前の思い出作りのお手伝いか。 くだらない話だ。早いとこ適当に話をつけて家に帰りたい。 「私とゲーム、してくれますか?」 「ルールは?」 「よかった。やってくれるんですね? ルールは簡単ですよ。1ヶ月以内に立川君が涙を流せば私の勝ち、そうでなければ立川君の勝ち」 ずいぶんと分が悪い話だ。俺が涙を流す? 有り得ない話だ。 「勝った方が負けた方の願いを何でも聞く。これでどうです?」 「ああ、うん。何でもいい」 自分の勝ちを確信した。 さて、何を頼もうか。
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