始まりの夏

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高校最後の年の夏、今日も暑い。 設備が整っていないこの高校は、クーラーなんぞ贅沢なものは、この三年の教室にも設置されていない。 扇風機すらないこの高校は、来年廃校になる。 廃れた校舎は、どこも彼処もボロボロだった。 窓をすべて開け放ったある教室。そこに立川 進 が在籍している。 私が今まで見てきた立川 進は、ほかの生徒と全く違っていた。 似ている。そう思ったのだ。 何に関しても無関心に見えた。誰かと笑いあったり、目の前の大学受験というものに一生懸命になったりと、そういった姿はこの三年間見ることはなかった。 興味を持った。だから、私がここにいることの出来る後1ヶ月、何かしてみたくなったのだ。
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