「もう一人の俺」

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◇◆大きな木◆◇について。 俺は高知県四万十市(旧・中村市)で生まれ育ちました。 同じ出身地の有名人っていうと90年代のヒット曲「トゥモロー」のシンガー、岡本真夜さんがいます。 あと、マニアックなところで80年代の東京インディーズシーンで活躍したファンク・バンド「じゃがたら」のヴォーカル、江戸アケミさんも。 (子供番組で有名な「お尻かじり虫」の振付師の南さんも、「じゃがたら」のメンバーでした。 アケミさんは、作家・町田康さんとも交流があったみたい。詩集も出版されてます) 本当に何もない町で、観光資源として「日本最後の清流」がキャッチフレーズの「四万十川」があるぐらい。 幼い頃はこの田舎(四万十市)が俺にとって世界の全てでしたが、 小学校高学年にもなると外の世界が解るようになってきます。 自分の幼なじみとかの兄貴なんかが、大阪とか東京へ出て行って帰省して来るんです。車とかで。 そりゃあ都会の土産話は刺激的でした。 今、思い返すと、兄貴たちの主な就職先はほとんど飲食店関係でしたが。 俺も早くこんな田舎出ていくんだ、 こんな田舎で一生終わってたまるか! という青臭い理由で、 やりたい事もないくせに 成長するにつれて、田舎を出たいという気持ちは増すばかり。 高校卒業と同時に地元の花屋で働きだすも、 あまりの労働条件の悪さに働きながら通っていた夜間の自動車学校を卒業してすぐに、俺は愛知県へ期間社員として出稼ぎに行きます。 そして愛知県で就職先を見つけて、いつしか家庭まで持ってました。
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