「ことだまの、ちから」

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あの日を境に、 俺の意識にも変化が起きました。 当たり前の日常が突然、 一瞬にして壊されていく。 そんな事など想像もしていませんでした。 テレビの中では、 まるで現実感の無い終末が繰り広げられている。 その光景は、 自分の日常をも揺さぶるような「怖さ」を持っていました。 それだけでなく、 当たり前のように受けていた文明の恩恵(電気)が、 実はひとたび暴走し始めたら人間の手に負えない「代物」に支えられてきた事を、 誰もが忘れてしまっていたのです。 いや、気づかないふりをしてたのかもしれない。 たかだか40年の電力供給による繁栄と引き換えに受けたのは、 放射性物質「プルトニウム」の半減期が推定2万4千年という、 気が遠くなるようなその「呪い」。 時が経つにつれて、 この震災がもたらしたものの「深刻さ」が明らかになってゆく。 それはまるで、 底の見えない暗い穴へと足を踏み入れるかのように。 そんな世の中へ、 俺達は踏み入れてしまったのです。 我が子や孫、 遠い、遠い子孫までをも道連れに。
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