「ことだまの、ちから」

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たくさんの方が、 無念の思いで海へと還っていった。 「陸の孤島」と化した原発では、 「責任感」に支えられた方たちが今もなおその「危険な場所」で事態をすべく立ち向かっている。 それに比べて俺は変わらぬ日常に身を置きながら、 時折「拭いきれない不安」と「何もできない無力感」を感じています。 それでも世の中は、 その歩みを止める事なく動いていく。 俺は変わらぬ日常に一喜一憂しながら、 一ヶ月、また一ヶ月と時が過ぎていきました。 そんな頃にテレビのコマーシャルから、 「上を向いて歩こう」が流れてきました。 矢沢永吉さんをはじめ、 いろんな方が歌ってたんじゃないかな。 あらためて聴いて、 「いい歌詞だなあ」と思いました。 決して明るい歌詞ではないけれど、 口ずさむと自然と上を向くよね。 作詞した「永六輔さん」がどんな思いでこの歌詞を書いたか解りませんが、 この歌詞には人を「治癒」する「力」がある、と俺は思ってます。 こういうのを「言霊(ことだま)が宿る」って言うのかなあ。 老若男女問わず口ずさめて、 向日葵が太陽へと伸びていくように自然と上を向かせる、 そんな「詩」をいつかは俺も書いてやる。 今はまだ力不足でもいつか、きっと。 それが震災の後で「俺にできる事」の「一つ」のような気がする。 言霊のちから 口をついて出たのは なつかしい希望の、 歌だった
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