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モノが造り上げた炎の槍は、一瞬にして水の壁に消火されていき、全ての槍が消火された後に、ゆっくりと水の壁は崩れ地面へと染み込んでいった。
「お姉さん、もしかして私を助けようとしてくれていた?」
壁が完全に崩れたその先をモノが見ると、少女は熊に乗って手を振っていた。
モノは絶句した。
頭では、まるで東方から伝わってきた話である金太郎の様だなぁと、今の理解出来ない状況から現実逃避をしていた。
なにせ、熊から助けようとした少女が、その熊に乗っているというのはどう考えても、モノから見れば非現実的であったからだ。
そして、少女から出た言葉がさらなる理解困難を示す。
「ありがとう!でもごめんなさい。この熊はお友達なんです」
熊がお友達?
新たな理解困難な言葉が出てきたので、モノの頭はますます混乱して頭も痛くなってきていた。
「さぁ、お姉さんもこっちに来て」
熊から降り、小走りで歩いてきた少女はモノの手を引き、熊の前まで連れて行く。
目の前には熊。横には笑顔な少女。
平凡な生活を送ってきたモノにとっては、頭の許容範囲が既に超えていて途端に目の前が真っ暗となった。
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