23910人が本棚に入れています
本棚に追加
「人を好きになる事は幸せな事。君は心の底から好き合う事を願っているのに、それを表に出す事すら出来ない不器用な人間。そんな君を、たくさん私が愛してあげる」
俺は何かの魔法にでも、かけられているのか。
その真面目な笑い顔を見てると……しいなの言葉を聞いていると段々と心地良くなって、こういうのも有りかなって思えてきた。
お金を払って恋愛ごっこ?
ありえない。
ありえないのに。
「な、2時間だけ好きになるって何だ? 本当に俺の事を好きになってくれるなら、今だけじゃなくてずっと付き合ってくれたらいいじゃねえかよ」
意識を根こそぎ吸い込まれそうな笑顔に、俺は思わずそう聞いてしまった。
「規約その5。私達との時間はお金で得た、魔法の時間。だからこそ本気で好きになれる、好きと信じられるの。時間延長も、変更も出来ない、唯一の時間」
限られた時間だからこそ、本気になれる?
「さ? 早くクレープを食べに行こう? 限られた時間は、あと1時間。早くしないと終わっちゃうよ?」
そう言って体を退こうとするしいなを、俺は思わず抱きしめた。
最初のコメントを投稿しよう!