注文その1

20/27
前へ
/1333ページ
次へ
    「限られた時間を好きになって理解してあげられたら、誰かと本当に付き合う時でも続けていける。そう思ったから」 だけど、現実は甘くなかった。 男達は当然のように女の子の体を求めるし、お金を払って買う関係に、情を持とうなどと考えない。 「……今日だってね。賢治くんに会いに来るのが凄く嫌だった。また、無理矢理襲われるのかなあって」 「おそ……」 「ふふ、軽蔑した?」 胸をかき乱されるような気持ちになった。 勿論、俺は偽善者なんかじゃないし、どっちかと言うと考えはその男達に近いものを持っていた。 だからこそ、もし、しいなの言った事が本当なら。 仕事をする事で、相手を理解しようと頑張ってるのなら。 ……罪悪感が体中を覆うほど、襲ってきた。   「だからね、私だってキスする相手くらいは選ぶの」  
/1333ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23910人が本棚に入れています
本棚に追加