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「そういう考えが駄目なんだ。人を傷つける怖さを知っている奴は、自分を傷付ける相手も優しく受け入れる事が出来るんだ」
「……うん」
「俺はしいなを受け入れるから、しいなも俺を受け入れてくれ」
「私なんかでいいの? さっきも言ったように、私は色んな人に……」
顔を強く抱いて、その先を喋らせないようにする。
自分と同じ辛さを持つ相手と話し、初めて。
……俺は、女の子の気持ちが少しだけ解った気がする。
そのまま人目も気にせず、ずっと抱きしめてたい。
そう思った瞬間だった。
『ちゃららら、ちゃっちゃっちゃ~♪』
何処かのゲームのレベルアップ音が、自分達が立っている場所を中心に鳴り響く。
「は?」
しいなの携帯電話。
それを証明するように、しいなはぼそりと呟いた。
「レベルアップしちゃった。時間だね……」
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