注文その1

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    「そういう考えが駄目なんだ。人を傷つける怖さを知っている奴は、自分を傷付ける相手も優しく受け入れる事が出来るんだ」 「……うん」 「俺はしいなを受け入れるから、しいなも俺を受け入れてくれ」 「私なんかでいいの? さっきも言ったように、私は色んな人に……」 顔を強く抱いて、その先を喋らせないようにする。 自分と同じ辛さを持つ相手と話し、初めて。 ……俺は、女の子の気持ちが少しだけ解った気がする。 そのまま人目も気にせず、ずっと抱きしめてたい。 そう思った瞬間だった。 『ちゃららら、ちゃっちゃっちゃ~♪』 何処かのゲームのレベルアップ音が、自分達が立っている場所を中心に鳴り響く。 「は?」 しいなの携帯電話。 それを証明するように、しいなはぼそりと呟いた。 「レベルアップしちゃった。時間だね……」    
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