凪にただよう

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二人はともに昭和一桁の生まれ。多感な時代に<戦争>という特殊な体験を経て、今とは違う家庭概念に育ち、家族をつくる!という渦に巻き込まれた。 あえて、<巻き込まれた>と。 当時、 自分の意志を通すとか ありったけの想いを込めて結婚を叶えた人など、 はたしてどれほどいたたろうか。 ぼんやりとくらす日常…。家族とともに暮らす<イエ>。 一歩そとにある激流などにに気がつかないまま ほとんどの女たちが<縁あって>と嫁いでいった。 そのまっただ中にいた二人。 育った家も結婚相手も嫁ぎ先も違うけれど そこには厳然と、 <渦>は存在した。 そしてもうひとり。 小料理屋を営む建物には息子夫婦を住まわせ 最後まで面倒をみた大叔母の家でひとり ゆっくり目をさましたのが勢津。身支度を手早くすませるとお茶をいれ、息子の車を待つ。自分の時間は自分で組み立てる。ここでも、一日が始まる…
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