凪にただよう

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勢津の実家は地方都市の郊外にあり、農業を生業とした普通の家庭だった。 「あたしら子どものころは農作業をよーく手伝わされたよ。。作業を終わらせたあと川へ泳ぎにいくのが楽しみでねえ。畑からもいできた胡瓜や西瓜がまた美味しかったなぁ」 店をあける準備。 テーブルを拭く手を止めてそうつぶやいた。 実家のそばに高速道路のインターチェンジが完成し、各所で畑は宅地にかわり、造成され、道が整備され、アパートが急増した。そんな勢いにおされるかのように実家の新築工事計画が持ち上がり、完成したのは、 勢津が結婚して家を出てから7年後のことだった
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