凪にただよう

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勢津がこの年まで現役でいられるのは<店>があるからだろう。 「嫁に来たときは舅、小姑のほかにも、いっぱい。コマネズミのように家事をしてた。でもね息が詰まるのよ。家業は暇でね。…で、逃避と実益をかねて、初めての夜の商売に手をだしたわけ」 いまでこそ屈託なく話すが大変な日々であったのはまちがいない。彼女の実家の家督をついだ兄が 「こんな夜の接客をさせるために嫁がせたわけじゃない!」と怒鳴り込んできたのは、田舎に住むものとしてはごく当たり前の感情だったと容易に想像できる
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