14.ついにアノヒトが登場です

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《零紀said 》 「……なにしてんの、春樹」 刹那の声で目が覚めた。少し頭痛がするが、それだけなら気分よく起きることが出来ただろう。 しかし、何故か刹那の部屋に春樹までいる。それだけでも苛つくというのに距離が、近い。 俺が低い声で牽制すると、春樹は残念そうに眉を下げて少し刹那から距離をとった。わざとらしいソレに苛々がつのる。 「残念、保護者が起きてしまったようだな」 「……刹那、水飲みたい。」 俺が春樹の言葉を無視して刹那に声をかけると、刹那は慌てて扉から出ていった。 刹那は分かってるからだ。 俺が刹那に頼むときは何かしら意図があることを。 「…で、何が言いたいんだ?わざわざ刹那に席をはずさせてまで。先に言っておくが、俺は何もしてないぞ?」 扉が閉まるのを見届けると、春樹は自分から話を切り出してきた。 「…刹那にちょっかい出してるみたいだけど、どういうつもりだ。」 「どういう、って?俺はただ、零紀の溺愛してる弟に興味があったからな。それに反応が面白いからついからかったりもしているが。いたって健全なお付き合いをさせていただいてますよ」 「へぇ、人の弟に女装させるのが健全だとは知らなかったな」 「ふ、俺の趣味はご存じでしょう、お兄様?」 ああ言えばこう言う。 いちいちカンにさわる言い方をしてくるコイツは俺の反応を見て面白がっているらしい。こういう所がムカつくんだ。
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