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「なあ、なんでそんな嘘臭い笑い方してるんだよ!作り笑いなんて良くないぜっ?」
うわぁーお。
なんなの、ここの生徒の皆さんは王道学園モノのBL本の熟読でもしてるの?そうなの?
まったくBL本と同じ展開だな、つまらん……とか思ってしまうあたり、俺は母さんに毒されたかもしれない。困る……
「……会って数分の貴方に何が分かるんですか!?」
おおっと、少し目を離した隙に急展開だな、まったくもう。それに俺の知ってる展開とはまったく逆なんだけど……。
いや、これが正しい解答なんだよな。これで惚れた等と言い始めてたら先輩の人格を疑ったわ、良かった案外普通で……。
うん、でも確かに愛想笑いでも十分綺麗だったけど、今みたいな怒っているのに悲しげな目をしている、表情豊かな方が好きかな。
「…だいたい、貴方にそんなこと言われる筋合いはありませ……!」
「、な」
「ちょっと、走って下さいね、っと」
いつの間にか、俺は先輩の手を掴んで走り出していた。
理由は分からない。
早く連れてって欲しかった?
先輩と二人になりたかった?
先輩に興味が湧いた?
なんとなく?
……やっぱり最後が一番しっくりくる気がする。
この学校の地理もろくに分からないまま、適当に暫く走ると中庭らしき所へ出た。
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