コンクリフト

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 きれいな青空。広い青空。太陽の光がさんさんと輝いていて、僕たちを包み込む。どこまでも広い、無限と思える青空を見て、キラキラとその金糸の長髪を揺らして彼女は僕に言った。 「私、大きくなったら飛行機に乗る。飛行機に乗って、あの大きな空を自由に飛び回るんだ!」  深い海のような碧眼を細めて、青空を照らす太陽みたいな笑顔で彼女は言った。  だから、その日から僕の夢も飛行士になった。彼女のいる空を一緒に飛びたいと思った。  十七歳の夏、僕と彼女は飛行訓練学校に通っていた。飛行訓練学校の第三学年。今年で飛行訓練学校を卒業する、いわゆる最高学年だった。  あれから五年経った。彼女は自分の夢を叶えるために飛行訓練学校に入った。僕も彼女と同じ学校に入った。彼女は学校に入ってから、すごく努力するようになった。座学でも実技でも、常に学年主席だった。僕も、そんな彼女に置いてかれないように勉強した。努力した。それで、僕は学年次席になった。  そうやって過ごして、訓練ではあったけど彼女と一緒に空を飛んで、一緒に笑って、一緒に泣いて、一緒に怒って、一緒に後悔して、一緒に反省して、一緒に努力して、それでまた一緒に笑った。  幸せだった。何物にも代えがたい時間だった。一生こんな時間が続けばいいとさえ思った。  でも、そんな僕の幸せは歪に積み上げられたブロックよりも容易く脆く、崩れ去った。 飛行訓練学校で過ごして三年目の夏――隣国との戦争が始まった。  
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