第二章

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彼女は、"此処"に居る事にどんな意味があるのかが分からなかった。 彼女にとって、"此処"はどんな場所よりも、安心で安全で、そして何より、暖かい場所であったのだ。 彼女にとって、何よりも大切なのは、"この暖かい場所"であり、それ以外の場所など、どうでも良かったのだ。 彼女にとって、"外界を知る"事は、"悪魔と契約を結ぶ"事よりも、危ない事であって、彼女が、「外」に出る事を望まなければ、知る必要性など無かったのだ。 彼女は、「知らない事を知る為に努力する事を知っていた」のである。 しかし、彼女にとって最大の難点となるのは、"外界に於ける"学校に行っていない事である。 彼女は、"努力をする事"は知っていたが、"友情関係"や"恋愛関係"を知らなかったのだ。 彼女にとって、友人と呼べる物は、本であり、彼女が"外界"を知る必要など無かったのだ。 しかし、彼女は1つの疑問を解決出来ない事に悩んでいた。 "運命"が何か分からないのだ。 「外界」を知らない彼女は、「運命」に出会う事も無かったのだ。 彼女が読書する事によって、知識を得る事は、"運命であって運命でない"事なのである。 つまり、"努力する運命"にある訳でも無い。 彼女は、"努力する事を知っている"だけであり、"努力"をした事が無かった。 彼女は彼女である事が、"運命"なのかが分からないのだ。 彼女は、"運命"を調べた。 「元から定められている巡り合わせ」 元から定められているならば、彼女は彼女である事が、"彼女の知らない間に"定められていた事になる。 彼女は、"自分の意志"で彼女である必要性すら無かったのだ。 彼女が彼女である事は、"絶対的条件"であり、"運命"だと考える必要が無かった。 彼女は、"命運"を調べた。 「そのことの存続にかかわる重大な運命」 つまり、彼女は「彼女であり続ける為に重大な運命」が何処かにある筈だと考えた。 しかし、彼女にとって、"運命"を探すことが、彼女にとってどのような"運命"になるのかを知らなかった。 彼女が彼女であったからと言って、"未来"に存在する可能性が低いと考えて居たのである。 彼女は、"未来"と言う事が"運命"が何か知る為の手掛かりだと感じた。
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