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兄は小さい時から優秀で、両親の自慢の息子だった。
両親が望むとおりにすくすくと育ち、いい高校に入っていい大学を優秀な成績で卒業した。
そしてこれまた両親の望むように、一流の病院に就職し――
そんな兄に縁談の障害があるとしたら、それは紛れもなく自分の存在だと竜二は思っていた。
「家を飛び出して二年以上も放って置いたのに、今さら大検を受けて医大へ行けだなんて虫が良すぎるぜ」
呟いて愛車のワインレッドのZZ-Rのエンジンを掛け、二度程吹かす。
途端、心地良いエキゾーストノートが腹に響く。
「調子いいな。さあ、行くか!」
ヘルメットを被ると、竜二は通勤の車で賑わう通りへと滑るように出て行った。
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