― 第一章 ―

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. 「中止だ。取り締まりのある日は走らないって、前のリーダーとの約束だからな」 「せっかくの土曜だって言うのによ!」 「保」 「分かったよ」  タオルで手を拭いながら立ち上がった竜二に、保は不満そうに答えて車に乗り込んだ。 「じゃあな。保、みんなに連絡してくれよ」 「ああ」  エンジンを掛け、保はタイヤを鳴らしながら国道へ滑り出した。 「チッ! ちょっと頭がいいからってリーダー面しやがって。警察が怖くて走れるかよ。走りたくないなら、おまえだけ家で寝てろ!」  少し走って竜二の姿が見えなくなると、保は呟いた。  本当の事を言うと、保は竜二の真面目さにいいかげん嫌気がさしていたのだ。  腕力ではとても適わなかったし、前のリーダーが決めた事だったので仕方なく竜二をリーダーと認めて従っていたが、その我慢もそろそろ限界に来ていた。 ―*―*―*―*―*―  第二章予告 「何処行くの? こんな時間に」  真由子は一瞬足を止めかけたが、無視して横を通り過ぎようとした。  しかし車は徐行しながらついて来る。 「無視しちゃって―― 可愛いねぇ」  男が窓から手を伸ばして、真由子の長い髪に触れた。 「やめて下さい!」  思わずその手を払う。  男はムッとした顔をすると、後部席に乗っていた仲間に声を掛けた。 .
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