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「保なんかにリーダーが務まるわけ無いじゃない。私帰る! ちょっとみんな、竜二が今日は取り締まりがあるから中止だって言ってたんだって。それを保の馬鹿が―― もう解散解散! 来て損しちゃった」
集まっていた仲間に向かって大きな声を上げ、ミホは河原の土手を上って行く。
「ミホ!」
その背中に保が叫んだ。
「待てよ、何故そんな事だけで中止にしなくちゃならないんだよ !?」
「そんな事だけですって?」
ミホはクルリと向きを変え、今度は土手を駆け下りて保の前に戻って来た。
「よそのグループは警察に目を付けられて、もう走れ無くなってるとこいっぱいあるのよ? うちが今まで続いているのは、竜二が――」
「竜二のおかげだって言うのかよ?」
不満げに問い掛け煙草を銜えた保に、ミホは唇を尖らせた。
「竜二はね、うるさい音立てて警察と鬼ごっこしながら走りたいわけじゃないの。ただバイクで走るのが好きなだけよ。バイク見れば分かるでしょ? いつも綺麗に整備してあって」
途端に、保は眉間に皺を寄せた。
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