― 第二章 ―

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.  整備工場から歩くと、ミホの家までは片道二十分はゆうにかかる。  それでもミホは竜二の腕にぶら下がるようにして、あれこれ話しながら楽しそうに歩いていた。 「ねえ、竜二。身長いくつ?」  問い掛けながら、顔を見上げる。 「ひとつ」 「……もうっ! 違うよ!」  プウッと頬を膨らませたミホに、竜二が微笑む。 「180センチくらいかな」  今度は真面目に答えた。 「ふうん。お兄ちゃんより大きいや。ねえ、高校の時何かスポーツやってた?」 「…………やってたよ」  竜二はしばらく黙ってから答えた。 「何? 何やってたの?」 「忘れた」 「何よ、教えてくれたっていいじゃない。ケチ!」  ミホは竜二の腕に絡ませていた右手を解いて前へ回り込むと、少し首を傾げて顔を覗き込んだ。 「ああ、分かった! あんまり下手クソで、思い出したくないんだ。そうでしょう?」 「そうだよ。よく分かったな」  竜二が笑って人差し指でミホの脇腹をつつく。  ミホは小さく「きゃっ」と声をあげて身を捩った。 .
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