― 第二章 ―

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. 「バイク貸せ! 俺が行く!」  保はバイクにまたがると、エンジンをかけた。  他の男たちもそれに続く。 「車と顔を知られてるんだ。絶対に逃がすな! ヤっちまえば黙らせられる!」 「誰か――」  真由子は真っ暗な闇に向かって走り始めた。  後ろの方でバイクの音がして、パッとライトが光った。 「いたぞっ! こっちだ!」  堤防の上を走る真由子の背に、ヘッドライトが近付いて来る。  長く伸びた影がだんだん色濃くなって行く。  砂利道に足を取られて転びそうになる。  それでも真由子は必死で走った。 「い……嫌……来ないで……来ないで――」  アクセルを吹かして、バイクはスピードを上げる。 「嫌ああぁぁ――!」  次の瞬間、ヘッドライトを浴びた真由子は、何を思ったのか突然立ち止まり、真っ直ぐにバイクの方を向いた。 「うわぁっ――!」  考えもしなかった真由子の行動に、保が慌てて急ブレーキをかける。 「保!」  転倒したバイクが砂煙を上げ、そのままスリップし続ける。  そして道の真ん中で立ち竦む真由子を、空中高く跳ね上げ―― .
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