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「仕方ないな。ここにずっといるわけに行かないから―― 俺の所で良ければ来るか?」
少女はしばらく竜二の顔を見つめてから、黙って肯いた。
「俺は妹尾竜二。君の名前は?」
「…………葉月」
竜二は自分のヘルメットを葉月に被せ、エンジンをかけた。
そしてもと来た方へと、バイクをスタートさせた。
―*―*―*―*―*―
*第三章予告
「竜二……」
小さく名前を呼ぶ。
すぐ傍の植え込みの中で、何かが動いた。
「竜二!」
今度は思い切り大きな声で叫んだ。
そしてその場にしゃがんで、頭を抱え込んだ。
「竜二!竜二――!」
「呼んだか?」
すぐ前で声がした。
顔を上げると、竜二が前屈みになって顔を覗き込んでいる。
「竜二……」
途端に、葉月は目にいっぱい涙を溜めて竜二にしがみ付いた。
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