99人が本棚に入れています
本棚に追加
.
柔らかい陽の光と小鳥の囀りに、竜二は目を覚ました。
枕元の時計を手探りで掴み、顔の前に翳す。
「十一時か――」
時計を元の場所にドンと置き、目を閉じて身体を横向きに変える。
が――
人の気配に、うっすらと目を開けた。
誰かが枕元に座っている。
(ミホ? ―― 違う……あっ!)
途端に、竜二は跳ね起きた。
(そうだった! 昨日の夜、光が丘の公園の所で――)
行く所が無いと泣く少女を連れて帰ってシャワーを浴びさせ、ベッドを貸したのだった。
「おはようございます」
葉月はニッコリ微笑んだあと、頬を赤く染めて顔を背けた。
「あ……おはよう」
葉月の様子に、竜二はハッとした。
夕べは何だか蒸し暑くて、ランニングシャツとトランクスだけで寝てしまっていたのだ。
慌ててタオルケットを引き寄せて、腹から下を覆う。
「ゴメン、こんな格好で」
思わずそんな言葉が口をつく。
ミホが相手なら全く平気なのに何を慌てているのだろうと、竜二は自分で自分が可笑しかった。
.
最初のコメントを投稿しよう!