― 第三章 ―

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. 「その……ちょっと無茶して――」 「おまえじゃないだろう?」 「えっ?」 「事故ったのは、おまえじゃないだろう?」  訊かれて、掌に汗が噴き出す。 「だっておまえ、ちっとも怪我して無いじゃないか。いったい何をやった?」  問い詰められて、雅人は慌てた。 「だから、ちょっと無茶して……」 「『無茶』って何だ? ハッキリ言えよ」  竜二が雅人の肩を掴む。  雅人は落ち着きなく視線を泳がせ、真っ直ぐに下ろした両手を握り締めた。 「わ、悪いのは俺じゃないんだ。あの時、保の奴が――」 「保がどうしたって?」 「保が――」  竜二の問いかけに雅人が何か言おうとした瞬間、車のクラクションが鳴って紫の派手な車が入って来た。 「保……」  途端に、雅人は口をつぐんだ。 「竜二、それやったのは雅人じゃないよ」  降りて来た保を見て、竜二はバイクに傷を作った犯人を知った。  保は左腕に包帯を巻き、左足を引きずっていたのだ。 .
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