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「―― 勝手な事して悪かったよ」
保の言葉を聞きながら、竜二はバイクの傷に手を触れる。
それから、借りてきた猫のように小さくなっている雅人に目をやった。
「雅人、バイクは直しておいてやる。でも、おまえの為じゃない。このままじゃ、こいつが可哀想だからだ」
「わ、分かった。じゃあ―― 頼むよ。ホントごめん。悪かった」
雅人は頭をペコリと下げると、保の車に乗って帰って行った。
「あいつ、本当は何をやったんだ……」
なぜ保が嘘を付くのか、雅人が口を濁すのか、この時の竜二には何一つ分からなかった。
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