― 第三章 ―

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. 「食事、もう少しでできますから。お風呂先にどうぞ」 「ああ……うん。分かった」  葉月に促され風呂に入る。  濡れた髪を拭きながら出てくると、部屋の真ん中に食事の支度が出来ていた。  ベッドの上には竜二が洗濯機に放り込んでおいた衣類が綺麗に洗濯され、きちんとたたんである。  竜二はフッと微笑むと、テーブルの前に腰を下ろした。 「あの……麦茶、飲みますか?」 「うん。少しだけ飲もうかな」  葉月はよく冷えた麦茶と冷蔵庫に入れて冷やしておいたグラスを持って来て、それを注いだ。  まるでビールのような丁寧な扱いに、竜二は少し笑った。  テーブルの上には冷凍庫の片隅に放り込んであった茹でたホウレン草が胡麻和えに変身して、涼しげなガラスの器の中に治まっている。 「ごめんなさい。冷蔵庫の中……あんまり入ってなかったから、上手く出来なかったんですけど――」  葉月はすまなさそうに、オムレツの乗った皿を竜二の前に差し出した。  黄色い卵の上に、赤いケチャップと茶色いソースがトロリとかかっている。  その横には、温野菜のキャベツとミニトマト。  すべてが竜二の好み通りになっていた。 .
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