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「竜二!」
今度は思い切り大きな声で叫んだ。
そしてその場にしゃがんで、頭を抱え込んだ。
「竜二! 竜二――!」
「呼んだか?」
すぐ前で声がした。
顔を上げると、竜二が前屈みになって顔を覗き込んでいる。
「竜二……」
途端に、葉月は目にいっぱい涙を溜めて竜二にしがみ付いた。
「ごめん……。怖がらせちゃったね。意地悪するつもりは無かったんだ。ただ――」
ポケットからクシャクシャのハンカチを出して、葉月の涙を拭いてやる。
「ただ、何て言うか……」
言葉でどう表現すればいいのかよく理解出来ない感情と一緒に、竜二は思わず葉月を抱き寄せた。
出逢ってまだ、二度目の夜だった。
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