― 第三章 ―

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.  二階に駆け上がり、周囲を見回す。 「何処行ったんだろう……」  キョロキョロしながら通路を歩いて行くが、なかなか見付からない。 「まさかここにはいないよね」  フッと笑って女性用の下着売場の前を素通りしようとしたその時、あのTシャツがチラリと見えた。 「えっ? 嘘……こんな所に?」  まるでドラマの刑事のように、棚の陰に隠れて覗き込む。  もう竜二のTシャツは見えなくなっていた。 「あれ?」  今度は急いで通路に入ってみる。  そして、さっきTシャツが見えていた所まで駆け足で来た時だった。  すぐ横から歩いて来た人に思い切り体当たりして、ミホは思わず声を上げた。 「あっ!」 「きゃっ!」  ぶつかった相手がふらついて膝をつく。 「ごめんなさい。大丈夫ですか? 私、急いでて――」  謝罪の言葉と共に、ミホは身体が二つ折れになるほど頭を下げた。 「大丈夫。気にしないで」  その女性は立ち上がると、肩から前へ垂らした長い三つ編みを揺らして微笑んだ。  パッチリした大きな瞳の、まるで―― そう、人形のようだとミホは思った。 .
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