― 第三章 ―

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. 「すみませんでした!」  もう一度丁寧にお辞儀をして、慌てて通路を戻る。  後ろを振り向くと、さっきの人が篭を持って奥の方へ歩いて行く所だった。 「あ……」  その人のTシャツの背中の柄を見て、ミホはさっきの謎が解けた。  竜二だと思ったのは、彼女のTシャツだったのだ。 「私ったら、あわてん坊――。あっ!」  腕時計に目をやる。  二階へ来て、もう十分も経っていた。 「しまった! お兄ちゃんに叱られる」  思わず呟き、階段を駆け降りて一階へ急ぐ。  先にビール売り場へ行き、いつも祐介が飲んでいる銘柄の缶を手にしてさっきの場所へ戻る。 「ゴメン、お待たせ」  そして、レジの近くで待っていた祐介に思い切りいい笑顔でビールを差し出した。 「はい! お兄ちゃん」 「遅い! 笑って誤魔化しても駄目だ!」  祐介はミホの額を人差し指で弾いた。  -*-*-*-*-*- .
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