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しかし食べる物を買うといっても、何を買えばいいか思いつかない。
作りたい物があれば別だが、元々料理には興味も無いので、何の目的も無く材料だけを眺めても閃くわけがない。
仕方が無いので、竜二は全部葉月に任せる事にした。
葉月は野菜や肉や魚、そして調味料を手に取ってはよく確かめて籠に入れて行く。
もう無くなりかけていたシャンプーや歯磨き粉も、竜二が使っている物と同じ物をちゃんと覚えていた。
「竜二、お菓子も買っていい?」
「もちろん」
竜二が答えると、葉月はさっそくレーズンクッキーとマカデミアナッツ入りのチョコレートを手にした。
「それ好きなの?」
「ええ。竜二は?」
少し間を置いて答える。
「高校生の頃……好きだった」
途端、葉月は黙って微笑み、レーズンクッキーとマカデミアナッツのチョコを棚に戻した。
「葉月……」
「今好きな物を買いましょう」
もう一度静かに微笑む。
竜二は自分の思いを理解して貰えた気がして、葉月の肩にそっと手を置いた。
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