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最後に雑誌のコーナへ向かう。
「葉月――?」
バイクの雑誌にパラパラと目を通していた竜二がふと振り向くと、葉月は文房具の並んだ棚の前にじっと立って何かを見ていた。
傍へ行っても気付かない。
そっと覗いてみる―― スケッチブックだ。
はっと気付いた葉月が振り向く。
「竜二――」
「おいで」
それを手に取り、他の物と一緒に会計を済ませて外へ出る。
「はい。これ、欲しかったんだろ?」
微笑んでスケッチブックを差し出した竜二を、葉月はじっと見つめた。
それからまるで宝物のように、スケッチブックをしっかり胸に抱いた。
「ありがとう。竜二、ありがとう」
何度も呟いて、葉月は微笑んだ。
―*―*―*―*―*―
*第四章予告
「やめて――」
「家に帰れない、行く所がないって言うから、理由も聞かないでここに置いてやってるんだ。だったら――」
葉月の声も無視して、片手でブラウスのボタンを外す。
それは――
葉月の白い胸元がチラリと覗いた瞬間だった。
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